小田急新ダイヤ、複々線化完了で「混む、遅い」返上へ 小田急電鉄は1日、「複々線化」が来年3月に完了するのに伴う新しいダイヤを発表した。朝の通勤ラッシュ時間の列車を大幅に増やし、混雑緩和や所要時間の短縮化を実現する。 同社は、1989年から代々木上原―登戸間の11・7キロで上下の線路をそれぞれ2本ずつにする複々線化を進め、来年3月に最後に残っていた世田谷代田―東北沢間の1・6キロが完成する。急行などが各駅停車と別の線路を走行でき、輸送力が大きく増える。 新ダイヤでは、朝の通勤ラッシュのピークにあたる午前8時前後の1時間に下北沢駅に到着する列車は現在の27本から36本に増え、世田谷代田―下北沢間の混雑率は192%から150%程度まで緩和する。 また、現在は主に通勤時間帯以外に走っている快速急行を通勤時間に本格的に導入し、多摩線からの通勤急行も新設。主要駅から新宿までの所要時間は最大で14分短くなる。ほか、東京メトロ千代田線への直通列車を増やし、座席指定で座って通勤できる通勤特急ロマンスカーも増発する。 この日の会見で同社の星野晃司社長は「構想から50年、着工から30年でやっと、『混む、遅い』と言われてきたイメージの一新を果たせる」と話した。 今回の記者会見では「京王と東急に挟まれた小田急」という発言もあった。具体的に他社から乗客を奪うといった説明はなかったけれど、多摩線に新宿方面の通勤急行を新設することは、多摩と新宿を結ぶ"ライバル"京王電鉄を意識したように見える。江ノ島線に新設される快速急行も、中央林間駅から東急田園都市線への乗換えを防ぐ狙いがありそうだ。複々線化の完成を最大戦力として、混雑緩和だけでなく乗客増による増収もしたたかに狙う。戦略的なダイヤ改正といえるかもしれない。
同社の新しい制服もお披露目された。モデルは現場の社員の皆さん
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