幼稚園はお寺の中だったし、家の近くには大きな観音像が立っている公園があったって思い出しました。子供の頃は、きれいだけど無表情な顔がちょっと怖い観音様を女性だと思っていました。大人になって観音様が怖いとは思わなくなりましたし、観音様には性別はないということも何かで知ってそうなんだと納得していました。だからこの本で「観音様は理系でイケメンの男性」という解釈に出会って驚きました。だけどどうして理系の男性なのか、読んですごく頷けました。好奇心のかたまりで、知らないことは研究しなければ気が済まないし、研究のためならどこにでも出向いていく姿勢は理系だと思いました。女性のような髪型と服装も、「知りたい」という好奇心から女装をした姿だったとしたら、「そこまでやるか」って驚きながらも、なんだか放っておけない親近感が湧き応援したくなります。観音様にとって、人間は分からない事だらけで、知りたいことだらけなのかと思います。私たちが普通に持ってしまういろんな欲を、咎める気持ちは全く無しに興味を持って、その欲が叶うかどうか観音様に聞けば計算して教えてくれるのだとしたら、私たちはこのままでいいんだという気持ちになります。 観音様は仏教から生まれたものだと思います。だけど本の中では神様として書かれているのがとても面白いです。さらに面白いのは、神様を「神様一家」として書かれているところです。神は唯一神で、一人で複雑な性質を持っている未知なる存在だと考えるより、神様一家がそれぞれの性質で人間と接していると考えるほうが、私は神のことを考えてみようという気になります。 それから、本の中で日本の武士道精神のことや、今回の大震災の時の日本人の態度にも触れられていて、それを読んで私は日本人に生まれたことが嬉しいと思えました。
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